マッケンジー法(The Mckenzie Method of Mechanical Diagnosis and Therapy)とは
マッケンジー法は、ニュージーランド出身の理学療法士ロビン・マッケンジー(Robin Mckenzie)氏が考案した神経筋骨格系の問題(筋肉・関節の痛みや神経痛)に対する評価・治療体系です。
一般的に行われている診断では、原因組織を特定して診断名をつけます。しかし、腰痛などの神経筋骨格系の問題においては、原因組織を特定するのは腰痛同様多くの場合困難です。原因組織の特定が困難なのにもかかわらず診断名をつけるのは当然無理があり、このことが現在一般的に行われている治療の効果を不確かなものにしている一因とされています。
一方、マッケンジー法の評価(診断)では、主に姿勢や動作などの力学的な刺激を加えた際の反応パターンによって患者様を分類します。マッケンジー法による評価の利点は、原因組織を特定する必要がないということです。痛みの反応パターンにもとづく評価方法ならば、原因組織の特定が困難であるという問題に左右されることなく、施術者の思い込みや勘を極力排除した状態で有効な治療法が決定できるのです。
例えば、肩の痛みの原因が頚椎(首の骨)に存在することも、膝の痛みの原因が腰椎(腰の骨)に存在することも少なくないので、患者様が痛みを感じている部位が首・肩・腕・腰・膝などどこであろうと、マッケンジー法では脊柱(頚椎・胸椎・腰椎)とその痛みとの関連性をまず確認します。脊柱との関連性が否定されたのちに、肩の痛みの原因が肩周辺にあるのか、膝の痛みの原因が膝周辺にあるのかといったことを確認していきます。また、肩の痛みの原因が頚椎にあるのならば頚椎のどの分類に当てはまるのか、原因が肩関節にあるならば肩関節のどの分類に当てはまるのか、膝の痛みの原因が膝にあるならば膝関節のどの分類に当てはまるのかといったことを詳細に確認していきます。このような詳細な評価を行うのは問題の本質がどこにあるのかを明確にするためです。問題の本質が明確になって初めて効果的なマネージメントを行えるのです。
このような独特な評価・治療体系を持つマッケンジー法は、これまで世界各地で多くの医師や医療機関から高い評価を得ており、実際アメリカやデンマークでは腰痛診察ガイドラインにおいて、マッケンジー法の使用が推奨されています。
マッケンジー法による肩の痛みの評価と治療①
マッケンジー法による肩の痛みの評価と治療②
慢性腰痛と肘の痛みに対するマッケンジー法の評価と治療